有効活用されていなかったウルシの木材から抽出された黄色色素から強い抗菌作用を確認しました。
漆について
漆は、古く縄文時代(9000年前)から使用されており、国の重要文化財や建造物などに使用されています。普段から、私たちも漆器や漆塗りの製品を使用していると思います。
現在、国産漆の安定的な生産を目指しています。基本的に国の重要文化財や建造物に使用する漆は国産が原則です。しかし、国産漆の産出量は7%程度(令和4年)と非常に少なく、不足しています。日本の産地として岩手県二戸市があり、そこでは国内の約70%を生産しています。国産漆が不足していることから、現在、全国で漆の木の植樹活動が行わています。
漆の木は15~20年程度で樹液を採取することができます。その間の手入れはとても大変です。また、漆の樹液を採取した後の木材の活用法も問題です。木材の活用方法をしっかりと考える必要があります。ただし、木にはウルシオールが含まれており、アレルギー反応(かぶれ)を引き起こしますので、知識のない人はウルシに触らない、近づかないが原則です。
弊社では、時間と愛情をかけて育てた漆の木を余すことなく活用できる方法として「漆染め」に着目しています。
漆染めについて
漆染めとは、「草木染」のカテゴリーのに分類されます。具体的には、漆の木材(原料)から黄色色素を抽出して、生地に染める方法です。染め上がった生地の色は非常に綺麗で、黄金もしくは黄色になり、一気に高級感が増します。自然のものでこれだけ綺麗な色が出るのは非常に珍しいです。
漆染めの機能性(抗菌・消臭・洗濯など)
ウルシの木材には「抗菌作用」があります。ただし、ウルシ材をチップ化して染めるだけでは十分な抗菌作用が確認できないことが多いです。
弊社で試行錯誤して作られたオリジナルのレシピでは、「黄色ブドウ球菌」に対して抗菌活性値=5.8と高い数値が確認されております。ちなみに、抗菌活性値は2で抗菌性が認められ、3以上であれば強い抗菌性があるとされています。
その抗菌性に寄与している物質が「フィセチン」と考えられています。フィセチンの量によってその抗菌性に違いがあるかどうか検証したところ、①通常煮出した染め液と②オリジナルレシピの間で6倍以上のフィセチンの含有量の差が確認されました。
また、洗濯をすれば色落ち(約20%)します。色落ちについて草木染め全般に言えることだと思いますが、生地によっては色落ちしにくいものも存在します。洗濯する際は素材に合った方法を選択し、色移りをしないように心がけましょう。
消臭性について検査しましたが、残念ながら効果は認められませんでした。
植樹活動について
弊社は、漆染め製品の売上の一部を「漆の植樹活動」を応援するために募金します。また、また弊社は「鳥栖漆会」のメンバーでもあり、一緒に鳥栖漆を育てる取り組みを行っています。活動内容などSNSで確認して頂ければと思います。